陽はまた昇る!

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私はプロレスが好きで、『新日本プロレスワールド』という動画サービスに加入しています。

 

新日本プロレスというのは日本のプロレス団体の最大手です。
プロレスをしらない人でもアントニオ猪木とかタイガーマスクは知っているでしょう。
80年代の子どもたちの話題を独占し、小学校中学校にプロレスごっこ禁止のお達しをさせた超人気レスラーでした。
その猪木やタイガーがいた団体です。

 

その後時は流れ、2000年頃から総合格闘技が勃興してくると徐々にプロレスは押されていきました。
より激しい刺激に満ちた試合に目をひかれ、プロレス人気は徐々に衰退し客も入らなくなっていきます。
それでも今のコロナ入場制限ほどではありませんでしたが、会場は空席が目立ち暗い雰囲気が支配したものです。

 

その状況を打破したのが、『百年に一人の逸材』棚橋弘至選手です。
彼は安易に総合的なものに迎合せず、純プロレスで団体と業界を建て直しはじめました。

 

棚橋選手はとにかく全国を回り、ヒマをつくってはみかん箱営業を続けました。
おそろしく地味な手法ですが、巡業先のラジオ局やコミュニティFMにも出演し、新人演歌歌手でもここまでやらないという程の営業活動を続けたのです。
もちろん毎日の試合も続けながらですよ。
常人ならすぐに音を上げるか過労で倒れます。

 

そういった努力を積み上げるうちに徐々にファンが増えていき、業績が上向き、大手スポンサーもついて一気に業界の頂点に返り咲きました。
団体の先輩方の全面協力も勿論ありますが、奇跡のV字回復を成し遂げたのは中核となる棚橋選手の滅私奉公があればこそでした。
棚橋選手は団体をまとめ上げる太陽だったのです。

 

そんな棚橋選手ももう四十代半ば。
永らくエースとして戦ってきたダメージで体はボロボロ。
神の座の後継者も得て、このまま徐々に身を引いていくかに思われました。
そんな時期にやってきたのが、コロナショックです。

 

厳しい入場制限で会場にまた影がさしました。
声援を送ることもできません。
暗黒期を上回る、存亡の危機がやってきたのです。

 

この非常事態に、今一度太陽神が最前線に帰ってきました。
皮肉な話ではありますが、コロナ自粛のおかげでボロボロの体を多少癒やす時間もありました。
全盛期には及ばぬまでも、今の精一杯は見せることができます。

 

ここで一人の男が棚橋選手とのタイトルマッチを希望します。
NEVER無差別級チャンピオン、鷹木信悟です。
彼はパワーと勢いで相手を粉砕するのが信条の選手です。
ボクサーでいうならハードパンチャーですね。
彼は今が旬といえる強大な敵です。

 

流石に棚橋選手も往年の力はないし、今の鷹木には勝てないだろう-
下馬評は大体こんな感じでした。

 

その試合が昨日行われました。

 

そこにいたのは、まさかの鷹木選手と真っ向どつきあう泥臭い棚橋選手でした。
棚橋選手は本来テクニックでキレイに相手を追い込むタイプです。
モハメド・アリと形容していいかもしれません。
鷹木選手はさしづめジョージ・フォアマンです。

鷹木選手の猪突を棚橋選手がどう捌くか、普通はそう考えます。
それが蓋を開けてみれば鷹木選手の土俵の上で正面衝突しているのです。

普段出さないラリアットや殆ど見たこともない頭突きまで繰り出し、若い鷹木選手を粉砕しにかかるんです。

 

『キンシャサの奇跡』もかくやと思うばかりです。
発声禁止の会場ですが、こんなん思わず声が漏れますよ。
私もテレビの前で声が上がりました。

 

必殺技のハイフライフローが決まって3カウント。
30分を越えるど付き合いを制したのは棚橋選手でした。
沈みかけていた太陽が、また朝日の輝きを取り戻した瞬間です。

 

棚橋選手も一度は地平線に消えていく自分を許容したのかもしれません。
でも、この緊急時に再び力を必要とされ、自身もそれに応え復活したんです。
同時代を生きてきた私のようなおじさんだって、諦めたり悟ったりしてる場合じゃないですよ。
燃え尽きる瞬間まで目一杯あがかなくちゃいけません。

 

諦めなければ、また陽は登る!