もうひとつの感染拡大

群馬県前橋市で今月1日、養豚場で飼育されている複数の豚が豚熱という病気に感染している事が判明しました。
発表によると、2週間前から豚の死亡数が増加しているという通報で県の家畜衛生研究所で検査をしたところ死んだ豚22頭のうち20頭に感染の疑いがあったそうです。
そこで国の研究機関で精密検査をしたところ、今回の豚熱の感染が確定されました。
これを受けて、感染が確認された農場と同じ経営者の農場あわせて1万頭もの豚が殺処分されます。

 

一応この方面の知識がある私ですが、豚熱という病気は聞いたことがありませんでした。
調べてみると、以前豚コレラと呼ばれていた病気が昨年に名称変更されたようです。
コレラと銘打たれていましたが、人間のコレラとは病原菌も異なれば人に感染する心配もありません。
症状は似ていますがまるっきり別の病気であり、人間のコレラと混同されるのを懸念しての名称改変だったのかもしれません。

 

しかしながらこの病気は感染性がものすごく強く、あっという間に施設全体に、もしくは人の衣服などに付着してよその農場に広がります。
徹底して駆逐しないと広範囲に病気が広がり、養豚業者に尋常ならざる損害を与えます。
よって国から法定伝染病に指定され、法律により全頭殺処分とされています。
非情なようですが、やらなければもっと被害が拡大するのでやるしかありません。

 

今回の例がちょっと問題なのは、豚達にはこの豚熱用のワクチンが接種されていたという点です。
まぁワクチンを射ったとは言っても、それで100%の予防効果があるわけではないのは人間と同じです。
しかしワクチンが頼りなのは人間と一緒です。
もしこれが通用しないとなると感染対策に多大な労力が必要になります。

 

まず感染源となっている野外の野生イノシシですが、国では経口ワクチンを広範囲に撒いたり防護柵を設置するなどの対策をしています。
自治体によっては報奨金を出してイノシシ狩りを推奨しているところもあります。
しかし新型コロナウイルスでイノシシ用経口ワクチンの輸入が止まるなど対策が遅れてきているのもあり、感染イノシシの勢力拡大は止まりません。
最初に感染イノシシが見つかった岐阜での封じ込めに失敗し、”防衛線”はジリジリと押し込まれているのが現状です。

 

イノシシは意外とアクティブな動物で、テレビでも少々の距離なら泳いで海を渡り無人島に上陸する姿などが紹介されています。
今こうしている間にも感染イノシシが山を越え谷を越えウイルスをばらまいているかもしれません。
今このご時世で満足な対策もままなりませんが、それでも今以上の大規模な対策を打たねばなりません。
生産者も各県の担当者も頭を抱え不安を抱えている状況です。