コストかリスクか

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今世界的に問題となっているコンピュータチップなどの半導体不足で、iPadやMacBookの生産にも影響がでているそうです。
MacBookの回路基板用チップやiPadのディスプレイ部品が不足しており、部品の発注がかなり後ろにずれ込んでいるとか。
今のところiPhoneの生産には影響が出ていないものの、こちらも部品供給が十分とはいえません。

 

以前からPCに使用するグラフィックボードやメモリ等の品薄や値上がりは徐々に進行していました。
今の状況のせいでテレワークの導入が進んでいることもあってPC等必要な機器の需要が増加しているこの時期に、頭の痛い問題です。
そもそもなんでこんな事態になっているのでしょう?
新型コロナのせいも勿論ありますが、そればかりとも言えないようです。

 

2020年の春、新型コロナのパンデミックにより自動車の売り上げが急激に落ち込みました。
その際に自動車メーカーはあらゆる部品や原料の発注を絞ったのですが、その中に当然ながら半導体も含まれていました。
ナビで使われるタッチスクリーン、衝突回避システムからエンジンやブレーキの制御にまで、今の車にはかなりの半導体が入っています。
これらの半導体を作っていたメーカーは困りました。

 

その後、秋口になって乗用車の需要が回復し、自動車メーカーがまた半導体を必要としました。
しかしその時には既に、半導体メーカーはIT家電など別の大口顧客に半導体を供給する契約を結んでいた後だったのです。

 

政治的な問題もあります。
トランプ前米国大統領が中国企業への半導体売却を厳しく規制したさい、中国企業はスマホなどの製造に欠かせない半導体を溜め込みはじめました。
他方で中芯国際集成電路製造(SMIC)を禁輸リストに載せたため、米国企業はここからの半導体供給を受けられなくなりました。

 

さらに2020年夏から秋にかけて、日本の半導体工場が立て続けに火災にあい、ここからの半導体供給が止まりました。
この工場は未だ操業を再開できていないそうです。

 

ダメ押しのように、今世界的に貨物輸送能力が落ち込んでいます。
海上輸送に使うコンテナが不足しており、海上輸送の運賃が高騰しています。
空路を使おうにも、もともと海上輸送とは輸送量に雲泥の差があるうえにコロナのせいで航空便が大幅に減便されています。
航空便は旅客便との混載で賄われており、貨物だけを載せて飛ばすと到底採算があわないそうです。

 

結果として近視眼的にコストカットをやりすぎた自動車業界は干上がりました。
長期的な視点で部品確保に走った電子メーカーにしても決して満足な量を確保できていない状況です。
半導体のような高度な技術と設備を必要とする工場は、足りなければ作ればいいなどという単純なものではありません。
一朝一夕に解決するような問題ではないでしょう。

 

今回はもう取り返しがつかないかもしれませんが、これを教訓として在庫管理を考え直さないといけないでしょう。
我々とて同じことです。
そのコストカットは本当にやっていいのか
危機管理の上で、しておいた方がいい出費ではないのか

 

保険なんていうものは難しいもので、何もないにこした事はありませんが、何もなかったら無駄な出費と見られがちです。
安心を買うということは重要ですが、その安心を買う余裕すらないという事も今の状況下では往々にしてあり得る話でしょう。
未来が見えない者としてこうした方がいいとは言えませんが、皆さん各々でよく考えることをお勧めします。